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夜空に星が瞬くように 溶けた心は離れない たとえこの手が離れても 二人がそれを忘れぬ限り 第一話 白陵大付属柊学園３年生の鳴海孝之には、クラスメイトの平慎二と速瀬水月という二人の親友がいた。ある日、水月は孝之に友人の涼宮遙を紹介するのだった。 某日、孝之は水月に呼び出され、学校の裏の丘に向かうと、そこに現れたのは遙であった。そして思いもよらぬ遙の告白に孝之は……。 第二話 晴れて両想いとなった孝之と遙は、デートを重ね蜜月状態。孝之にとって、それはこれまで味わったことの無い幸福だった。 某日、デートの待ち合わせに遅れてしまった孝之は、遙の姿を必死に探すのだが、そこに彼女の姿はなかった。そして遙を探す孝之は取り返しのつかない悲劇に直面する。
三年という歳月が すべてを押し流していく ただ永き眠りの君だけを残し── 時と時のはざまで すれ違う想いの居場所はどこに… 第三話 ファミリーレストラン“すかいてんぷる”で、若い店員たちを相手に明るく働く鳴海孝之── あの事故から、三年の月日が流れていた。そして速瀬水月は就職し、孝之の部屋へしばしば泊まっていく仲となっていた。歳月は人を変えていく。だが……変わらぬ美しさが、その病室にはあった。 第四話 同居を提案した水月に対し、孝之はためらいを見せる。遙の身体は事故のダメージから回復したものの、いまだに意識不明、病室で昏睡状態を続けているのだ。そんなある日── 看病をしていた妹の茜は、遙の腕が動いていることに気づき、医師を呼んだ。止まっていた時間が、動き出そうとしているのか……。
信じた人と あこがれの君に 背かれた心の 深き傷── 愛しみの心が ほの昏い憎悪に染まりゆく…… 第五話 遙の意識が戻ったと聞き、水月はあの事故から変わってしまった三年間を回想していた。……コーチに見放され、実業団への道も閉ざされて卒業後、水泳を失って就職した水月は、一年以上も虚脱し続ける孝之の面倒を見るようになっていた。閉ざされていた孝之の心が開くとき、新たなる波紋が拡がっていく……。 第六話 姉の遙にとって大事な孝之と、尊敬する水月が、まさかの関係を持った……。茜は裏切りだと感じ、激しく憎むようになっていた。意識の回復した遙ではあったが、記憶は混乱したまま三年間の過ぎた時間を認識してはいなかった。責任を感じる孝之は、毎日のように遙を訪ねる。だが病室へ近づく水月に、茜の言葉は容赦がなかった……。
時の止まりし 君の目覚め はかなき硝子の 心の守りが── 疑惑を育み 永遠の絆を蝕んでいく…… 第七話 仕事中に、孝之から気遣う電話をもらっても、水月は心のもつれをほぐすことができないでいた。見かねた先輩の石田は、モヤモヤを吐き出させようと何かにつけ、水月に気を配る。遙の記憶は次第に戻り、孝之と二人だけの誓いのおまじないを病室で行う。だがそれは、目撃した茜の心を傷つけてしまう……。 第八話 あの事故から遙の時間は止まっている。もしもショックを与えると、その心はどうなるか……。ささいな言葉にも気遣いながら、孝之は見舞いを続ける。しかし、孝之と会えて喜ぶ遙の顔を見た水月は、自分たちの生活の先行きに不安を隠せなくなっていた。「もう遙には会わないで……」思わず孝之に詰め寄る水月。二人の間で、孝之の苦悩は深まるばかりであった……。
無垢なる過去へ 還りを願う乙女の 張り裂け乱れし心── 堕ちゆく望みは、さらなる底を求めて… 第九話 悲痛な顔をした茜を追って、遙の病室へ向かった孝之。激しい雨が窓を打つ中、孝之はついに遙と唇を重ねた…。帰りを待つ水月は、悲しげに唄を口ずさむ。気まずい思いを抱えながらも、遙のために古い絵本『マヤウルのおくりもの』を懸命に探す孝之。すれ違う心と心に、水月の限界は近づいていた。「戻りたい……あのころに……」 第十話 主治医と相談しながら、想い出の絵本を渡そうとする孝之。記憶が戻るにつれ、遙は急に疑り深くなっていた。姉の回復を目前にして、茜は風邪で咳き込みながら、素直に喜べない自分の気持ちを、孝之に告白していた。孝之との間がうまく行かず、仕事でもミス続きの水月。自ら動いて答えを出すべきだという先輩・石田の言葉は、水月に思いがけない大胆な行動を取らせることに…
たった一夜の過ちに 拡がりゆく 黒き疑惑の溝 別離のドアが いま開かれる…… 第十一話 茜に明かされた真実の重みを受け止められず、遙はふたたび意識を失い、危険な状態となってしまった。水月は不安定な気持ちで、慎二とホテルで関係を持つ。だがそれで、孝之への想いが消えるわけではなかった。誰も傷つけたくないのに、なぜ傷つけてしまうのか……。茜と話した孝之の心は哀しみに満ちていくが、苦しみの中で、本当の気持ちが次第に明らかになる……。 第十二話 風邪と心労のため、ついに倒れてしまった孝之。水月は必死で看病するが、意識の混濁した孝之が、「遙……」とつぶやくのを聞き、表情を変えた。遙の代わりはできない……。そう決意した水月は、慎二との一夜の関係を告白し、孝之のもとから去っていく。思い出の指輪を残して。出したはずの孝之の答えは、行き場を失った……。
永遠の時を いま動かし始める…… 第十三話 意識を取り戻した遙は、三年の年月の重みをあえて受け止めようと意を決し、「今つきあっている人はいるの？」と孝之に聞いた。水月が去った今、孝之はそれを否定した。だが別の日、水月は自分と孝之との関係を告白する。憎まれ役になろうとして、ウソを交えながら。いたたまれなくなった遙は、意外な行動に出た……。 最終話 自ら立ち直ろうと、リハビリに励む遙の姿を見て、孝之はついに決心した。すべてを打ち明けようと。暮れなずむ砂浜で、２人の三年という時間には、ついに終止符が打たれようとしていた。すべての迷いを振り切り、すべてを投げうって、孝之は水月を迎えようと、自ら動き出す。だが、水月は会社を辞め行方知れずになっていた……。 |
